誰にもお薦めできない「ヴァンパイアホテルからの脱出」

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アジトオブスクラップ横浜で再演していたので、参加してきました。

出会いがある・異性とコミュニケーションをとらなければゲームを進められないリアル脱出ゲームということで、SCRAPの公演でもかなり異色の公演です。

60分間同じペアと解き続けるのではなく、段階ごとにペアを変えて謎に挑むことになるので、ルールに則れば知り合い同士の男女ペアで行ってもずっと一緒に解き続けることはできません。

 

システムを紹介したところで、ネタバレなしで感想を書いていきたいと思います。

普段はSCRAP信者を自称するくらいSCRAPの公演は大好きなのですが、こればかりはあまりにアレだったので、何が不満だったのか?自分なりに分析して書きとめておこうと思います。

ネタバレはありませんが、プレイ後に読むことをおすすめします。

 

総合評価

ワクワク感:★☆☆☆☆

謎のクオリティ:★★☆☆☆

おすすめ度:★☆☆☆☆

 

 

 

没入感ゼロのリアル脱出ゲームってこんなにつまらないのか

ある日、あなたの元に招待状が届く。

差出人は、ヴァンパイアホテルのオーナー。
彼の開くパーティーは、いつも趣向が凝らされ、
揺らめく蝋燭の中、華やかな紳士淑女が集う。

しかし、今回のパーティーはなにかおかしい。

始まらない音楽、並べられない食事、そして壁に飾られた謎の肖像画...。
このホテルからは、謎を解き明かさなくては脱出することができないようだ。
さて、あなたはこのヴァンパイアホテルから脱出することができるだろうか?

ストーリーはこんな感じ。理不尽な状況に置かれて謎を解かなければ出られない、というのはリアル脱出ゲーム界隈ではお馴染みの設定ですね。出られなくても死なないだけマシかもしれない。

一応このようなストーリーはあるのですが、正直プレイするのにストーリーはほぼ絡んできません。

いわゆる没入感、物語の主人公になったような感覚、そういったものを全く感じることなくゲームが終わってしまったなあという感じでした。

とりあえず問題を手に入れて、周りのプレーヤーと協力して解いて、また次の問題にいって。

謎を解くことがすべてというわけではありませんでしたが、それでも没入感が得られるような何かがあるわけではなく、ひたすら与えられる課題をこなしていくだけだったので、謎を解きながらもどこか退屈な感覚を覚えずにはいられませんでした。

 

流れ作業としての異性との交流

謎を解くには異性とのコミュニケーションが不可欠!協力して脱出しよう!

そういった触れ込みから私が想像していたものは、2人の共同作業で初めて解ける謎があって解くうちに褒め合い一緒に楽しむようになり……という感じのゲームでしたが、正直これも見当外れ。

どうにか無いコミュニケーション能力を絞り出してペアを作って謎を解きますが、まあ盛り上がらない。何故かって、2人で協力し合う必要があるというより、2人がそれぞれ出した答えを組み合わせて完全な答えを得るというシステムだから。

つまり、それぞれの答えを出すまでは個人作業なのです。そして組み合わせるのは一瞬で終わるので、「これなんでした?」「△△です」「じゃあ答え◎◎ですねー」で終了おしまいちゃんちゃん。コミュニケーションとは……

そして、上記の通りペアは段階ごとに変えることになるので、まあ一人の相手と話す時間が少ない。せめてずっと同じ相手がペアだったらもう少し話すことが出来るんでしょうが、それはそれで色々な人と話すことが出来ず本末転倒なんでしょうかね。うっすい出会い×多数よりも一人との出会い×長時間の方が、万に一つ気が合ったとき次に繋げられて良さそうだけれども。

なんなら普通のルーム型やホール型のゲームの方がよっぽどコミュニケーションをとる機会が多いのではないでしょうか。

 

次に進むためのステップが苦痛になりかねない

ネタバレにならない範囲でどこまで書けるのか……どうあがいてもネタバレになりそうなのでふんわり濁しますが、アレがほんと苦痛でした。

私が出来なすぎてペアの相手が苛々し出す。雰囲気が悪くなる。出会いとは(硬直)

チームならカバーし合えますが、ペアで相手も出来ないと進めないゲームをやるとなると、出来なかったときの空気が最悪ですよね。時間制限があるゲームなんだから。

ペアの相手が悪かったとも言えますが、どうせならお互い楽しい思いをできる蓋然性の高いステップを用意してほしかったです……。

 

大謎のもやっと感

これもネタバレになるので詳しい記述は避けますが、大謎の考え方、順番が普通と逆だったのでスッキリした気持ちになれませんでした。

大謎って基本的に①大謎の問題の意味を読み解く②その他のヒントをもとにその意味を実現させる③大謎が解ける、という順序で進むと思うのですが、この公演は①②の順番がまるで逆。

大謎の意味がわからない!しょうがない、ヒントからメタ読みしてみよう!って順番でしか解けないんですよね。

きれいな謎だっただけに、問題とヒントの出し方が下手でこうなってしまったのがひたすら勿体無いなと思います。

 

謎解きとしても出会いの場としても中途半端

結局のところ、こういうことです。どちらを目的にして行っても中途半端過ぎて全く楽しめません。

はっきり言って、謎解きクラスタにも出会いを求める人にも勧められないどっちつかずのクソゲーだったなと思います。

とはいえ出会いと謎解きという組み合わせはとても相性がいいと思うので、なんとか上手く組み合わせたSCRAP製の謎解き街コンをやってみたいところではあります。